2015年7月アーカイブ

日本の原動力

石の家には生物としての家のやわらかさ、暖かさがなく、非生物としてのつめたさ、かたさ、牢獄のような暗さがある。

石のもつ永遠性のなかには非情さを感ずるが、木のもろさ、はかなさ、命あるものだけがもつ風情とか情緒は全くない。

西洋の都会の家は、家というより石の穴倉だ。

われわれがいう家の概念にあてはまらない。

ましてや家と庭と書く「家庭」ののびのぴとみずみずしい開放的な雰囲気はない。

西洋の町に活気が乏しいのは石の永久性のため増築新築の必要が少ないからだ。

それに比べて日本では戦災、震災、火災の度に町ぐるみ振り出しにもどって建設を始め、ふだんでもひっきりなしに増新築をくり返している。

東京の街路をながめていると、ひっきりなしに砂利トラがゆき、木材が運ばれ、ミキサーが進み、トラックの大部分が土木建築資材の動きであることに気がつく。

つくってはこわし、燃やしては建てる=この回転のエネルギーこそ日本の原動力と思われる。

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こうすると当事者は、自分が重大視していたことがたいしたことではないことに気づき、生きる勇気が出てくるのだ。

自殺願望や苦悩という抽象的な患者の訴えは、じつはほんとうのところ、カゥンセリングに立ち会う私や本人にさえ、いわば永遠に解けない問題である。

こんなときは、その問題自体を、その問題の解消のために逆用できないかと考えてみる。

会社の中などでも、たとえば仕事が遅れる、スケジュールが守れないという厄介な部下を持った上司が、ある時期から、その部下への小言をやめ、とことん遅れるにまかせる手段をとってみた。

一度、二度と重大事態を経験し、その上司も冷や汗の連続だったが、三度めを境に、ほとんどその部下の悪癖は消えてしまったといった例はよくある。

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森田療法とは

逆にこんなひどい夫はいままで聞いたこともない、あなたもよくよく運が悪い、このままだと生き地獄だ、などと夫のひどさを強調してやり、一刻も早くさっさと別れなさいとすすめる。

するとおもしろいことに、相手は、たしかに夫はひどいけれども、それほどではない、自分が悪いところもあると、かえって夫を弁護したりしはじめるのだ。

神経症の治療で有名な森田療法でも、苦しみや悩みを訴える人には、けっして忘れなさいとは言わない。

もっと悩め、もっと苦しめと、とことん悩ませてみるのである。

一見、非情な方法にもみえるが、こうしたやり方に共通する意図は、自分の抱える問題を遠ざけるのでなく、かえって問題そのものを本人にぶつけることにより、客観視させることにある。

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